その14 何がいけなかったのか?

鏡に映った自分の姿、なんだかきれいじゃない。
お店でさっと着付けてもらった時は、あんなにはんなり感が出てたのに。
なんでだろう?とものすごくものすごく考えました。
下手だから、を差し引いてもどうにも感じる違和感。
あたしって着付けの才能ないのかしら。


そこではたと気が付いた。
私は、補正がいやなのだ。
着物雑誌で見る女優さんたちが、なんだかバーンとして体でかい人に見える違和感の正体は、まさにこれだったんだ。
昔見ていた祖母のように、くたっとしてるけどもっと自然な姿を、私はイメージしているのだ。


思いは友人も同じだったらしく、二人の意見は一致しました。
補正なしの着付けを教えてくれるという「衣裳らくや」の着付け教室に行ってみることにしたんです。
体験レッスンが、確か3000円と言われたのをしっかり覚えていました。


補正問題は着付けに対するイメージで、意見が分かれる所なのだと思います。
黒猫隊長はしわなくきれいに着たい人。
私たちはまずははんなり(しかも楽に)着たかった。
この考えはまた後日になると少し変わるんですけど、その時点では補正なしへの思いが強かったのです。


そして出かけた体験教室。
和やかな雰囲気の中、講師の先生二人に生徒さん8名。
畳敷きの間にそれぞれに姿見を与えられ、肌着に襦袢を羽織ったところからスタートです。
様々な体系の方がいましたが、講師の先生のアットホームな解説の元、1時間半後には全く補正なしで全員きれいに着上がりました。
その楽なこと。
巻いてる紐は伊達締と腰紐の2本だけ、それでも不安はありません。
見た目も、ああ、これだ、私の求めてた着物姿は!と上がる気分。
舞い上がる気分のままに、私と友人は3回で着られる着付コース31,500円(税込)に即お申し込みしたのでした。
節約はどこいった、お〜い。


ここらあたりで、強く感じたこと。
着物は自分の体に合っている方が、当然のことながら楽にきれいに着られる、ということ。
体験教室では襦袢から帯まで全部リースだったのですが、むしろちょっと小さめサイズのその着物の着易いこと。
いろいろなところがぴしっと決まるのです。
漠然と着物はフリーサイズ、と思い込んでいましたが全然違っていました。
黒猫隊長が言ってることが、着てみてやっと心から実感できたのです。
そしてふつふつと湧き上がるのは、自分サイズで仕立てたい!という思いでした。