その13 いよいよ着てみる

着付けを覚えるにあたってはいろいろな選択肢がありました。
最近巡ったご呉服屋さん、古布屋さんでは、私たちが初心者だと知ると、必ずと言っていいほど、そのお店の着付け教室にお誘いを受けたんですよ。
「3回通えば着られるようになりますよ。」
「すぐに着られるようになりますよ、無理矢理何か買わせたりしませんよ。」
わはは、世間の着付け教室は、いろんなものを買わされるらしいとここで知る。
特に学費が安いところには結構な罠が待っているそうですね。
罠でなくとも、着られるようになれば、着物がもっと欲しくなるだろうし、そこで有識者に「これは持っていた方がいいですよ。お安くなりますよ。」
と言われれば、買っちゃいますよねえ。


そんな猜疑心と、節約の卑しい根性が働いて、私と友人はまず、黒猫隊長宅で教えていただく道を選択し、いそいそとお邪魔したのでした。


黒猫隊長は、きっちり補正をしてしわなくきれいに着る派です。
まずは補正の仕方を教えていただきました。
肌着の上から胸前にV字にタオル、鳩尾に小さな三角タオル、腰にタオル一巻き。
これでかっちりずんどう体系の出来上がり。


その上から長襦袢
実は長襦袢の着付けこそが重要なのだと初めて知りました。
襦袢さえきちんと着れたら、もう着付けの半分以上は終わったも同然なのだそうです。


そして着物。
自分で着てみて改めて大きめ着物の大変さを実感。
下前、どこまでも回る回る〜〜。
お端折長〜い。
なんとか伊達締を巻き終わる頃には、あれ半襟が消えてるよ?
半襟どこいった〜ぃ?(大汗)


遂に帯。
家で本を見て練習した時もそうでしたが、向かい合ったり鏡で見たりしてると、自分の手がどっち向いてるのか完全に分からなくなりますね。
その手をくるりと返して!っていわれてもどっちのくるり?あっちのくるり?盆踊りかよ!っていうドタバタぶりです。
黒猫隊長も途中からわけが分からなくなり、おもむろに帯を解きだして、部屋中に散らばる紐やら布やら〜。


11時に開始して、なんとか二人とも着付け上がったのが3時。
ぜえはあ。


その姿は・・・なんだかイメージと違う。


狭い室内で、1枚の姿見を二人で順番に使って、
覚えの悪い生徒たち、初めてのお教室に黒猫隊長もテンパって、
着終わった時にはもう3人ともげっそり。
初回なんだからできないのは当たり前、そうは思うのですが、なんというか、以前試着した時のような着物着てきれい!うれしい!上がる!感がまるで出てない。
本当は着たらご近所にお蕎麦でも食べに行こうと計画していたのですが、とても外に出られる姿じゃありません。


これはどうしたものか。
なんだか、ものすごく自信喪失。
こんなんじゃ、歌舞伎どころか近所の蕎麦屋にも行けないよ!