その9 着物には格があることを知る

ここまでの旅の中で学んだ一番重要なことに、着物の格、というものがありました。
洋服にTPOがあるように、着物にもTPOがあります。
以前着物は、それだけで洋服を凌駕する華やかさがある、と書きましたが、だから着物なら何でもいい、というわけにはいかないらしいのです。


DCブランド世代の私たちにとって、素材としての紬は魅力的だけど、ペラペラとした訪問着などはちょっと馴染みにくい。
けれど紬はあくまでも遊び着なので、いくら価格が高くても、正式の場所には不似合いなんだそうですよ、ほーー。
150万円の結城紬よりも古着屋で5万円で買った小紋の方が格が上とは!
恐るべし着物カースト制。


確認のためものすごくざっくりと偉い順に並べてみますと


1、黒留袖
既婚者が着る一番偉い着物。
結婚式で、親族やお仲人夫人が着る、あの黒地にすそ模様の豪華な着物ですね。
両胸、背中、両外袖の5か所に家紋を染め抜いていて、合わせる帯は丸帯か袋帯
憧れますよね、でも着られる確率はかなり低いかも?(笑)

2、色留袖
黒留袖と同格の既婚者が着る一番偉い着物で、5つ紋が入るのが正式だそうですが、3つ、1つの略式もあるそうです。
結婚式や祝賀会、パーティなどで着用する着物で帯は丸帯か袋帯

3、振袖
未婚女性の一番偉い着物。
私たちにはもう関係ないですね。

4、訪問着
結婚式、パーティ、茶会、見合い等で、既婚未婚の区別なく着られる、準礼装。
3つ紋か1つ紋を入れるとちょっと格が上がるらしい。
帯は袋帯や織りの名古屋帯

5、付け下げ
訪問着としても使える社交用の着物。どこから見ても柄が上向きというのが特徴だそうで、1つ紋を入れることで格が上がるそうです。
帯は袋帯名古屋帯をTPOによって使い分けます。

6、色無地
紋を入れれば準礼装に格が上がり、帯によってはお洒落着にもなり老若も問わない万能着物。
色、地紋によって慶事にも弔事にも使えます。
お茶会、入卒業式などの学校行事、七五三など様々な場面に重宝するそうです。
帯は正式な場には袋帯、少しくだけて名古屋帯

7、小紋
格式張らないお出かけに、ピッタリな着物。
中でも江戸小紋は格が高く、特に江戸小紋三役(鮫、行儀、通し)は紋を付けることで場合によっては訪問着や付け下げより格が上がり、礼服としても使えるそうです。
何だか「紋」って、御墨付きみたいというか、黄門様の印籠というか、便利なものですよね。(笑)
着脱式はありなのか?とかいろいろ聞いてしまいました。

8、御召
ここから下はいわゆる織りの着物で遊び着、ということになります。
御召しとは「御召し縮緬」の略で、織りの着物の中ではやや格が高くなるそうです。
名古屋帯から塩瀬の帯まで、幅広く楽しめる着物だそうです。

9、紬
私が一番魅力を感じるのが、この紬。
しかしながら紬はどんなにお値段が高くても、遊び着なのだそうです。
ただし、最近は着物ルールもやや緩くなり、社交の場に紬を着る方もいるそうです。

10、木綿
一重で仕立てる普段着着物。
気の置けない仲間との飲み会などに、黒猫隊長がさらりと着てくるのがなんとも軽やかで良い風情。
お値段も安く、家で洗濯もできるので、普段着に着倒すにはもってこい。
名古屋帯以外にも半幅帯や兵児帯が使えます。

,
このほかに上布や縮などの遊び着がありますが、おおまかにはこんな順番で。(いいのかな?)


ここに帯の格が足し算引き算されて、着物の立ち位置は微妙に変化するわけです。
最初はもう全然分からん!と思ってましたが、きちんと整理し、品物を眺めているうちにだんだん分かってくる(ような気がする)から不思議です。いや全然分かってないのかもしれないけど。(笑)


着物ルールは時代と共に、変化してきているようです。
それは洋服も同じこと。
デニムでパーティに行く人もいれば、ジャージで歌舞伎座に行く人もいます。
でも基本をふまえた上で自分流の崩しに入っていくのが、大人ってもんですよね。