その7 ひと旅終えて思うこと

こうして私たちの最初の着物旅は終わりました。
行ってみて、試着してみて分かったことは、


1,着物を着ても老け込まない。
考えてみたら、昔の日本人は老いも若きもやせ形もぽっちゃり形もみんな着物を着ていたんですよね。
だから似合うとか似合わないとかないんですよね。
要は自分に合った色柄を理解することが大切なのだ、とわかりました。


2.懐具合が寂しくても着物は買えそう。
着物は思ったよりも価格の幅が広いので、自分の懐具合と相談して、
身の丈にあったものを揃えることが可能なのです。
もちろん上を見ればキリがないですが、リサイクル着物だと、新品では絶対手が出ないような品物を安価で手にすることができたりして。
特に驚いたのが、リサイクル帯の安さです。
ちゃんと大人が締められる美しい帯が、ものによっては1万円台から店頭に並んでいました。
これなら、普通に洋服を買うぐらいの金額で、恥ずかしくないものが見つかりそうです。


3.メガネで着物でもあんまり違和感ないかも。
黒ぶちのがっちりメガネは浮きまくりかと思ったら、以外と気にならない。
私はもうメガネ着物スタイルでいく!と開き直れました。


こんな感じで何となく先が見えてきた単純な私たちは、秋に着物で歌舞伎見物!を夢見て、猛然と走りはじめたのです。


そうなると、もう早く着物が欲しくて欲しくてたまらない。
なぜなら私たちにはもう一つの難関、「自分で着付ける。」という大事業が待っているのです。
半年間でなんとか着付けをマスターして、自分の家から着物で歌舞伎座に行けるようにならなくては!
名古屋帯って何ですか?」って、お店の人に聞いちゃうレベルの私たちが、はたしてさくさく自分で着られるようになるのだろうか。


考えると憂鬱になることは置いといて、もういても立ってもいられない私は、一人でこっそり着物屋さんに旅してみました。
訪ねたのは吉祥寺にある「くるり kesa」
青山と吉祥寺にあるこちらのショップも、リーズナブルなリサイクル着物を扱っていると黒猫隊長から聞いていたのです。


ビルの4階にあるショップは広々とした畳敷きもあるステキな空間。
デニム着物など、実験的なオリジナル商品も扱っていて、どちらかというと若い着物ファン向けのお店ではありそうです。


若くてかわいい店員さんに、先日の着物旅で覚えた通り、用途を言って何種類か試着させてもらいましたが、どうもピンと来ず。
前回の小紋のような上がる感じがないのです。
その時私の前のお客さんが試着したらしい紬が目に入りました。
生成りのような優しい色に縦にうっすら織り模様。八掛けのオリーブ色がなんともいい風合い。
着てみたら、これは似合って上がる感じ。
問題は、歌舞伎座にこの着物で行けるのかどうか。
う〜〜ん、ちょっとカジュアル過ぎるかな?
お店の人に聞くと、「前の方の席ではちょっと・・・、ですけど後ろの席なら大丈夫かも。」というはなはだ心もとないご意見。
もう一つの問題は、裄はピッタリだけれど、身幅がかなり広い点。
隊長が折に触れて、着物はなるべくピッタリな寸法のものを買った方が良い。
本音は自分サイズに仕立てるのが理想的。
その方が着付けが全然楽なのだ、と言われていたのです。


47000円と、価格はかなり理想的でしたが、ここは一つ隊長の意見を聞くことにして帰宅。
自分一人じゃ決められない〜。
結局この紬は後日再確認にいくと、最初の印象とは違ってかなり庶民的で、
近所の蕎麦屋にはピッタリだけど、歌舞伎座にはどうにも無理でしょう、ということで却下となりました。