その6 酒と同じで安いものから始めるべし

次に向かったのは着物スタイリストで有名な石田節子さんが経営する「衣裳らくや」
歌舞伎座の近くに4フロアからなる店舗を構えていて、小物やリサイクル着物、帯から始まり、様々な種類の反物もたくさん揃っていました。


こちらでもアンティークを中心にわいわいと試着させていただきました。
スタッフの方の手際もよく、似合いそうなものをボンボン出してきてくれます。
なんだか楽し〜!


1階のリサイクル着物コーナーでひとしきり試着させていただいた後、2階のお誂えコーナーに移動。
すると上の階には、素人目にも上質な帯や反物がずら〜り。
は〜、いいと思うものはことごとく高い。
はたしてこれから着物にはまり込むのかどうかも分からぬ私たちの1枚目にしては、やはり少し高嶺の花かな。
紫の地色に大きな白い輪をところどころ染め抜いた紬をあてていただきうっとり。
お仕立て上がり18万円ほど、と紬の着物にしてはむしろお買い得なお値段なのでしょうけれど、これはあてるだけで満足して、店を出ました。
しかし「衣裳らくや」は手ごろなものから高級なものまで、品揃えがつぼを得ているというか、DCブランド世代の心をぐぐっとつかむ、センスの良さなのです。
いつかこちらで仕立てたいな、との野心を抱きました。


次に、ぐっとお安く誂えられる店があるから、と歩を進める途中で、ちょっと入りにくい感じの高級な店構えの呉服屋に飛び込んでみました。
「銀座もとじ」というこのお店は、なんでもオスの蚕だけから取れるという糸「プラチナボーイ」を織り上げた上質な絹織物を扱うお店で、並んでいる品々も眩いばかりにお高い反物ばかり。
さっき見てたのと二桁違う〜〜。
しかし美しい反物は生地を見てるだけでワクワクするものですね。
素人同然の私に、丁寧に生地のことを説明してくれた初老の店員さんも、とても紳士的で素敵でした。(ポッ)


もとじで目の保養をした後に向かったのが、「銀座いち利」
低価格でお誂え着物を楽しめるカジュアル着物専門店だそうです。
ちょうどこの日は江戸小紋のフェアをやっていて、仕立て代込み4万円台という、
実に魅力的な価格の反物も並んでいました。
しかーし、だめなんです。
一度、いいものを見てしまうと、もうこのぐらいのものでは変なフィルターかかっちゃって満足できないんです。
最初に見てたら、魅力的な商品に見えたはずなのに。
うがー、たった3時間ぐらいで目が肥えるとは。


はー、着物も酒と同じですね。安いものから見ていかないと、
目が肥えちゃってもう戻れなくなっちゃうものなのですね。


結局この日は何一つ購入せずに帰ってきたのでした。