その5 一枚目から舞い上がる

さて、ちゃんと帯も結んでもらって、鏡に写してみて思ったこと。
着物を着たら老け込むんじゃないかと恐れていた私ですが、それが、そうでもなかったんです。
なんだか着物に「フフ、あんたなんかまだまだヒヨッコよ。」
と言われた気がしました。
くすんだピンク系大丈夫かな?と心配だった色みも、遠目に見るとなんだか華やいで、あ、なんか、いい!この着物好き!似合ってるかも。
まさに着物を着て気分が上がる、を初体験。
眼鏡も思ったより気にならない。


しかもお値段を見ると、7万円台後半。
想像していたいたよりずっと安かったのです。


素材は紬や木綿が好み!と漠然と思っていた私ですが、絹のしっとり体に沿う感じは、まさに着物の醍醐味なのだな、と実感。
ところが、
友人が黄土色チェックの紬を羽織ったら、着付けた瞬間がくっと下がった。
彼女のかわいい雰囲気と相まって、時代劇に出てくる下働きの娘さんみたくなっちゃったんです。
ぶは〜〜!駄目なんだ、好きな柄と似合う柄は違うんだ。
着物、面白過ぎ〜〜!


その後彼女は濃紺の紬を羽織ったら一気に上がり、アジアの布を仕立てた名古屋帯に、太くてぷっくりと綿が入ったくすんだ色の帯締めがまたすごくピッタリで、
「全部まとめて下さい!」
の言葉が喉から出かかったところで、隊長から待て!の合図が。
興奮しまくり上がりまくりでハアハア言ってる私たちを、ずるずると外に連れ出してくれました。


初着物体験でぼ〜〜っ!と燃え上がった頭を冷やすため、とりあえずお茶休憩。
そこで隊長からいろいろと注意が飛びました。
まず、私の小紋は裄が短すぎました。
裄は出せますとお店の人は言っていましたが、お直し代がかかっては安く古着を買う意味がなくなってしまいますよね。
何より小紋でも古着で7万円台はちょと高いかも、とのご意見。
(作家さんもので銘が入っていたせいもあるそうです)


友人の紬はサイズもピッタリで似合っていたけれど、良い紬だったとは言え、古着で10万円台中盤の値札。
これは確かにちょっとお高いと感じました。
その値段なら、もう少し出して自分に合ったサイズの着物を仕立てることも可能だし、断然お特。
それから、ブッとい綿入れの帯締め(丸ぐけ帯締めというのだそうです)は、かわいいけど、あれは若い子が大正ロマンっぽく着るからいいのであって、40面さげて締めるのはいかがなものか、と。
いえもちろん、全て承知で好みで締めるのはそれぞれのファッションだと思いますが、私たちは無知のイタ着物になることを激しく恐れているのです。


今日はとにかくいろいろと見て、本当に狙うべきは何かを知る旅にしましょう、との冷静なご意見。
んだんだ、全くその通りだ!


というわけで、次はリサイクルものもあるけど、お仕立てもできるという呉服屋さんに向かったのでした。