その2 ここか、ここがはじめ時なのか!

着物への憧れは押し入れの奥に仕舞い込まれ、忙しさにまぎれて歌舞伎座への足
も、ここ数年ちょっと遠のき気味でしたが、最近になりまたぽつりぽつりと公演の
チケットを取るようになりました。
たいして余裕ができたわけでもないのですが、好きな俳優さんがいつまでも元気な
わけじゃないし、(縁起でもなくてゴメンナサイ!)
歌舞伎座の建て替えが決まったのも、通いたい気分に拍車をかけました。


古くからの歌舞伎友達に新しい友人も加わって、やけに楽しい歌舞伎座通い。
その中の一人が、2年ほど前からにわかに着物にはまりはじめたのです。
というかズッポリはまっちまったんです。


歌舞伎座にはもちろんステキな着物姿で現れますが、普段の飲み会やお祭り、仲間
うちの蕎麦会などには、シックな着物や洋服感覚のカジュアルな着物、かわいい浴
衣姿で現れるようになりました。
それがね〜、とっても美しかったんですよ。
わ〜、着物ってやっぱりいいね。
普段着感覚でサラッと着られるのってオシャレだねぇ。
それに着物って、かなり気合いの入った洋服を簡単に退ける、華というかパワーを
持ってるんですよね。
いいな〜、その装備一つ欲しいな〜。(笑)


昔馴染みの友達も、着物姿だとちょっと格が上がっちゃってなんだか眩しい!
会うたび、珍しい奇麗な鳥とか熱帯魚とかを眺めまわす感覚で、
「これはどういう素材なのだ?」「苦しくないのか?」「着るのは大変か?」
と低レベルないらん質問を繰り返す。
いろいろ聞くうちに、歌舞伎に着てきたぺらぺらしたきれいな着物は訪問着、ざっ
くりとオシャレに着ていたのは紬、秋の祭りに着ていたかわいいチェックの着物は
木綿、と猿なりに着物知識がちょびっとずつ溜まっていったのです。


やがて昔からの私の『着物で歌舞伎に行きたい願望』を知っているその友人から
「着物、着ればいいのに。すぐ着られるようになるよ。一緒に着物で歌舞伎座に行
こうよ。」
とさらりと言われたのです。


でもさ、ほら、独身時代みたいにお金も使えないしさ、部屋はごちゃごちゃだし、
もうちょっと落ち着いてからじゃないと無理だよな〜。
いつかね、いつか余裕ができたら・・・。


ってでも私ってばもう40代、そのいつかっていつなんだろう?
50で始めて、初心者ですって恥かけるのかな?
そこから勉強してたら60になっちゃうよ。
もしかして、もしかして、今が、ここがはじめ時なのか!?